私だって少女漫画の〇〇になりたいっ!
「私に用なら、やっぱり怒ってるんだ……」
昨日だってかねやんから助けてくれたのに、逃げるようにして1年生の教室から飛び出てきちゃったし…。
「いや、怒ってるわけじゃなくて、ただ橋本に会いにきたって感じだったけど。
あと橋本は真壁が双子だとかいう名推理したって思ってるかもだけど、あんなの2人もいたら目立ってしゃーないわ」
「…………」
……た、確かにそうかも…。
今なら納得がいく。
百合ちゃんの告白を断っていた真壁くんはきっと、百合ちゃんにお願いされたからあんな風に冷たかったのだろう。
「やっぱさ、真壁って橋本に気があるんじゃないの」
「……………」
ふいに聞こえた言葉に、脳の中で考えるという機能が全停止する。
固まってしまい、瞬きすらすることを忘れていた。
「え……?」
「…沈黙長いわ。 ためすぎてこっちのほうがビックリしたわ」
「いや、ちょっと何言ってるかわかんなかった。
今なんて言ったの…?」
原田の言ったことが理解できなかったため、私はもう一度聞き返す。
「だから、橋本のこと好きなんじゃないのって」
「誰が」
「真壁千尋」
「………………んなわけないっ!」
「ためが長いっつーの」
いつも通り原田に突っ込まれていることは変わらないのに、急に私の心臓の焦りが尋常じゃない。
止まっていたガスの火を突然強にされた気分…。
だって、それを言うなら逆だってば……
私が真壁くんのこと、好きになってるんだって……