一途な御曹司と16歳の花嫁

うう、かっこ悪い。こんな時にサッと退場できないなんて未練たらたらみたいで。


チラッと彼を見たら、もう一度ユリナさんにすみませんって謝っている。


わかってるよ。男の人が100人いたら99人があっちを選ぶってことくらい。


私でも多分そうすると思うから。


もう彼らを見るのが辛くて急いでベランダの塀を超えようとジャンプして腕を踏ん張る。


その時。


フワリと体が宙に浮くような感覚がしたと同時にそのまま後ろに強い力で引きこまれた。


「キャッ」


「つむぎ」


地に足がつかなくて、背中には熱い感触。
そして私の好きな薔薇の香り。


「もう帰るのか？」


寂しそうな彼の声に、私の心臓は勝手に暴れだす。


「せっかく来てくれたのに」


後ろから私を抱きしめる彼は頬がすこし赤い。


「やだ、離してお願い」