一途な御曹司と16歳の花嫁
「あ、そうなんですか?」
婚姻届には、親の記入欄があり未成年の私達の署名だけでは届け出はできないらしい。
親にも話してもらえると聞いてホッとする。
それだったらもしかしたら、うちの親が断ってくれるかもしれない。
だってこんな無茶苦茶なことをうちの父が承諾するわけがない。
「つむぎ、ここで待っててもらえるか?俺は来客を迎えてくるから」
「はい」
「じゃあな」
伊織様が扉の向こうへ消えていくのをぼんやりしながら見送った。
「つむぎ様、それではいまからご両親の承諾をいただいてきますので」
南さんは先ほどの冷たく脅してきた口調はどこへやら、すっかり優しい表情になって話しかけてきた。
「あ、はい」