一途な御曹司と16歳の花嫁
「でもいいのかな、そんなこと。伊織さまを騙すみたいで、気がすすまないよ」


「いいんだよ、伊織さまと南くんがこんな強引なやり方で無理矢理に結婚をすすめようとしてるんだから、こちらも対抗しなくては。
だいたい旦那様に内緒で綾小路家との婚約を解消するなんてとんでもないことだ」


だんだんと父の怒りがヒートアップしてきている。


大丈夫かな、今入院してて体調もすぐれないのに血圧が上がったりしないか心配になる。


「お父さん落ち着いて、私なら大丈夫だよ」


「つむぎ?もしかしてもう伊織さまに何か言われたりされたりしたのかい?」


父の声に鋭い緊張が走った。


「え、ううん、そんなんじゃ」


「伊織さまはあの通りの美丈夫だから、若い娘なら誰だって憧れるだろうが、気をつけなさい、おまえみたいな子の手に負える相手じゃない」


「あ、う、それは私なんて釣り合わないのはわかってるよ。だけど」


さっきの熱いプロポーズを思い出すとフワフワと気持ちが浮きたち、高揚してしまう。

< 50 / 347 >

この作品をシェア

pagetop