The Last -凶悪-
「あ・・・あの・・先生・・。」
「「「「「「「??」」」」」」」」」
両足も、左手も・・
挙げた右手も震えていた。
でも私は・・・無我夢中に手を挙げて、
無我夢中に震えた声を発していた。
「小松?どうした?」
「・・・・リンカは・・・
犯人じゃ・・ないと思います・・。」
「え・・。」
「・・・リンカは・・・・・。」
頑張れ私・・。
頑張って・・言葉を・・。
「リンカは・・言葉遣いが悪くて・・乱暴で・・。
私は1年生の時にすごくイジメられてたけど・・。
2年になっても続いてたけど・・。」
「・・・・・・・・・・・。」
「でも・・でもリンカは・・
最近・・凄く人が変わって・・。
リンカは泥棒する子じゃないと思います・・。
もし何かの間違いで誰かの財布が自分のカバンに入っていたら・・
リンカはちゃんとその人に届ける事が出来る子だと思います・・。」
「「「「「・・・・・。」」」」」
いつも・・自分の上履きばかり見てた。
でもこの時だけは、
しっかりと先生の目を見つめた。
「・・小松がそう言うんだったら・・
藤島は無実なのかもな・・。」
落としどころが見つからない先生が最後に、
“お前が敵を作るから悪いんだぞ”
とリンカに捨て台詞を吐いて、
財布が田中さんの手元に戻った。
まだ心臓がドキドキしながら席に座る。
「・・・?」
笑顔を浮かべたミドリちゃんが、
こちらを見ていた事に気付いて目が合う。
「よく言ったねサトミ!」
声には出さなかったけど、
口の動きからそう言ってるのが伝わった。