The Last -凶悪-
「・・いいかサトミ・・?
幸せを目の当たりにする度、
それをぶっ壊したいと憎む俺と・・
平気なツラして人に硫酸をかけられるお前の子だぞ・・?
俺達のハイブリッドが・・
“ミライ”が産まれるんだぞ!!?」
「!!!」
結婚して、料理をするようになった。
下手くそでも不味くても、”美味しい”と言ってくれるコウスケさんの為に一生懸命勉強した。
だから今の私の家には・・
レンチよりも、硫酸よりも確実な・・
「お、おいサトミ・・なんだよ・・?」
「・・・!!」
キッチンから“包丁”を取って、
コウスケさんに突きつける。
その両手は震えていたけど、
視線は泳がなかった。
「自分が犯した事は・・必ず償う・・。
この子を産んで、愛情を注いで・・大切に育てた後で・・どんな罰も受ける・・。」
「・・・・・・・。」
「もう・・コウスケさんには甘えない・・!もう・・言いなりにはならない!!」
「・・・・・・・・・・・・・・。」
視線は泳がなかった。
でも・・あっという間に滲んでいった。
それは14歳の時に流したものでも、
憎しみと再会した時に流したものでもなく、
お腹に宿った命が、私に流させたものだった。