あなたの愛に包まれて
「剣持」
「はい」
千晃をまっすぐに見たまま父は剣持に話しかける。
「今月いっぱいで営業2課へ移動だ。」
「っ!?」
父の言葉に千晃が目を見開く。
「どうしてっ!?」
千晃が父の方へ近付こうとするのを剣持が呼びとめた。
「お嬢様」
剣持の声に千晃が足を止める。
「承知いたしました。残りの時間、お嬢様のお力となれるよう精一杯務めさせていただきます。」
そう言って深々と頭を下げる剣持に、千晃は動揺を隠せない。
「お前」
父は動揺する千晃を見る。その目は冷酷な瞳をしていて、千晃は今までで一番父の目が怖く感じた。
「福山財閥の息子とのこと、本気になっているわけじゃないだろうな」
「え?」
父の言葉に千晃が聞き返す。
「最近頻繁に連絡をとっているそうじゃないか。」
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