あなたの愛に包まれて
「幸せになってね?」
「あぁ。」
「母さんの一番大切な宝だから。匡祐は。」
ここ数年、匡祐のことすら覚えていないこともあった母からの信じられない反応に匡祐はぐっとこみ上げるものをこらえた。
「ありがとう。」
「母さんこそ。ありがとう。愛してるわ。」
匡祐の大きな体を小さな体の母が抱きしめる。
懐かしい母のぬくもりに匡祐は一筋の涙をこらえきれず流した。

千晃もそんな二人の姿を見て涙を流している。


匡祐は母の体を抱きしめ返しながら千晃の方を見た。
『あいしてる』声にはせず、口の動きで匡祐がなんと言ったのか千晃には伝わる。
千晃も『あいしてる』と返した。
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