25年目のI love you~やっぱり一緒に・・・②~
春希を見送った私は、頭痛に負けて、ベッドに舞い戻りたい誘惑に、懸命に耐え、ダイニングの椅子に腰掛ける。


頭痛だけでなく、吐き気もあって、さすがに食欲もないけど、とりあえずコーヒーを煎れさせてもらって、身体を潤す。


(誰がなんて言ってもやっぱり隆司が好き、か・・・。)


正直、覚えていないんだけど、でも春希が嘘付く理由もないから、間違いなく言ったんだろうなぁ。全く10代の乙女じゃあるまいし、何言ってるんだろうって、顔が赤くなって来る。


コケにされてるかもしれないのに、やっぱりそれが自分の本音か、と我ながら呆れながら、でも納得してしまう。


しばらくボヤッと座りながら、あれやこれや考えなくてるうちに、段々酔いが覚めてくる。


(よし。)


立ち上がった私は、徐ろに部屋の片付けを始める。一人暮らしが長く、キレイ好きの春希の部屋が散らかってるわけじゃないんだけど、せめてものお礼のつもり。


掃除機も掛け、キッチンに残っていた洗い物も片付けて、その後シャワーを貸してもらって、使わせてもらったタオルも洗って、どうやら一段落。


そして、最後に責任もって、戸締まりを確認して


『いろいろありがとう、また連絡するね。
                朱美』


とのメモをテーブルに置くと、私は部屋を出た。


時計を見ると、もう1時を過ぎてる。昼休み、終わっちゃったろうな、と思いながら、携帯を取り出し、封鎖を解除してメールを打つ。


『昨日はごめんね。ちゃんと、話聞きたいから連絡下さい。』


そう送信すると、ビックリするくらい、すぐに返信が来た。


『どこ行ってたんだ?連絡はつかないし、アパートにはいないし、心配したんだぞ。俺もちゃんと話をしたい。仕事終わったら、電話するよ。』


仕事中に部長さんが、私的なメールなんて、示しがつかないんじゃない?なんて思ったけど、でも本当に心配してくれてたんだなっていうのが伝わって来て、ちょっと嬉しかった。
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