25年目のI love you~やっぱり一緒に・・・②~
次の日、また長男から電話が来て、当日は午後2時に彼女と一緒に実家に行くと伝えられた。


店長には、事情を説明して、休みをもらった。あとは当日を待つばかり。なんとも落ち着かない気分になっている自分が自分でも可笑しい。


そして、前日の土曜日。仕事が終わった後、私は久しぶりに隆司さんに電話をした。


『もしもし。』


かれこれ、ひと月ぶりに携帯から聞こえて来た声。


「もしもし、久しぶり。」


『ああ。仕事、終わったのか?』


「うん。」


『お疲れさま。』


「ありがとう。」


ぎこちなく、当たり障りのない会話が。そして、一瞬、間を置いて、私は言った。


「明日、よろしくね。」


『ああ、こちらこそ。あの・・・うまくやろうな。』


「大丈夫だよ。25年の時間は伊達じゃないはずだから。」


『そうか、そうだよな。』


そしてまた、一瞬の間が開いて、私が言う。


「それでさ、明日、朝からそっちに行ってもいいかな?」


『えっ?』


「いろいろ準備したいし、それにハッキリ言って、家の中がどうなってるか心配だから。」


『いや、ま、そんな酷いことにはなってないと思うけど・・・。』


と言いながら、自信なさそうな隆司さんの声。


「いいよね?もしもの時に、笑われるのは、あなたや正司じゃなくて、私なんだから。まさか、実は私、ここにずっと居なくて、なんて言えないんだし。」


『わかったよ。と言うか、是非お願いします。』


「はい、8時には伺いますから。清司と2人して、寝坊なんてしてないでよ。私、鍵持ってないんだからね。」


『はい、かしこまり。』


ここで、ようやく笑い声が起こった。そして


『ゴメンな。』


「えっ?」


『ずっと連絡しなくて。』


「ううん、それは私の方も同じだから。」


ここでまた、会話が途切れる。そして、やや言いづらそうに隆司さんが言う。


『明日、終わったら、すぐ帰っちゃうのか?』


「・・・。」


『出来たら、少し時間をくれないか?話したいことが、あるんだ。』


「いいよ。」


私は即答する。


「で、少しでいいの?」


『えっ?』


「私もあなたにお話したいことがあるから、出来たらいっぱい時間欲しいんだけど。」


『朱美・・・。』


またまた一瞬途切れる会話。だけど、すぐに


『わかった。じゃ、いっぱい時間空けとくよ。』


と隆司さんの声が。


「それじゃ、明日ね。」


『ああ、待ってるから。』


そう言って、通話を終えた私達。


(よし!)


気合いを入れて、私は歩き出す。


明日、時間が本当にいっぱい必要なのか、それは本当に明日次第、私達次第・・・。
< 132 / 156 >

この作品をシェア

pagetop