25年目のI love you~やっぱり一緒に・・・②~
そして開店。


OL時代はもちろん、スーパーの時も、まずは研修と言う名の座学からスタートしたもんだが、今回は事前に目を通しておくように、一冊のマニュアルを渡されていて、あとは先輩が1人付いてくれるそうだが、いきなり実践。売場に立たされるそうでびっくり。


「レジの研修は、後でやりますが、成川さんは前職で、経験されてるでしょうから、いくつか操作方法をお教えすれば、すぐに打てるでしょう。」


と、店長はこともなげに言う。どうやら「習うより慣れろ」のスタイルの会社のようで、緊張はいやがうえにも高まって来る。


「大丈夫ですよ、まずは私に付いていて下されば。とりあえず、商品を触りながら、どこに何があるか、大雑把でいいですから、把握するところからスタートしましょう。」


私の教育係に指名された渋谷裕美(しぶやひろみ)さんの優しい言葉と笑顔に、ホッとさせられる。


「開店します。」


店長がスタッフに声を掛け、みんなが所定の位置につく。まずは来店されたお客様への開店挨拶。これはスーパーでもあった。私は渋谷さんの横で、見よう見まねに


「おはようございます、いらっしゃいませ。」


と声を出し、頭を下げる。それがまず3分間。その後は各自の仕事に取り掛かるのだが、私は言われた通り、店内をまわり、商品の場所の把握に努める。男性もの、女性もの、チャイルド向け、このくくりを把握するだけで、だいぶ違う。


「お客様に商品の場所を聞かれることは一番多いですから。」


渋谷さんの言葉に私は頷く。ここらへんのことも、スーパー時代に同じことを言われた覚えがある。


平日の朝ということで、お客様の数はまだ少ない。一緒に売場を回りながら、渋谷さんが言うことをメモに取る。


こうして、時は刻々と過ぎて行く。
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