25年目のI love you~やっぱり一緒に・・・②~
午前中はあっと言う間に過ぎ、お昼休みに。今日は渋谷さんと一緒にお昼を摂る。


「でも、成川さんは覚えるのが早くて助かります。」


「そんなことありませんよ。」


「それに接客業を経験されてるから、お客様の応対もしっかりされてるし。店長が即戦力って言ってましたけど、本当ですね。」


渋谷さんに面と向かって、そんなことを言われて、困ってしまう。


食品スーパー時代は、社員食堂なんかなくて、店内でお弁当を買うか、持参するかだったけど、この店では、モールの従業員対象の結構大きな食堂があって、メニューも豊富とまではいかないけど、それなりにバラエティがある。


もっとも渋谷さんはお弁当持参。私もあまり贅沢の出来る立場ではないのだから、弁当を作りたかったんだけど、いろいろあって、そこまで手が回らなかった。


「私も店に入りたての頃は、よく食べました。結構、ここは美味しいと思いますよ。」


と言った渋谷さんは、でも家のローンや子供の教育費にお金がかかりますからね、とお弁当持参の理由を言って笑う。


渋谷さんは、入店4年目で、私より4つ年下。旦那さんは現在、単身赴任中で不在だそうで、中学生と小学生のお子さんと3人暮らし。


「でも成川さんが年上とは思いませんでした、あんまりお綺麗なんで。」


またまた、そう言う渋谷さんも四十路を越えてるようには、とても見えない。


「本当は、子供の頃の夢だったケーキ屋さんに勤めたかったんですけど、時給がこっちの方がよかったもんで。」


なんて、にこやかに話してくれる渋谷さん。お陰で、私もすっかり緊張が解け、話も弾んだけど、あまり私の身の上のことを聞いて来なかったから、あるいは店長から、私の事情をある程度、聞いているのかもしれないと思った。
< 67 / 156 >

この作品をシェア

pagetop