25年目のI love you~やっぱり一緒に・・・②~
慌ただしくも充実していたはずの結婚生活が、気が付いたら、いつの間にか違ったものになってしまっていた。


夫との会話がどんどん減って行き、愛を確かめ合う営みもいつしか誘うことも誘われることもなくなっていた。特に何かあったわけじゃない、もちろん嫌いになったわけでもないし、嫌われてもいなかったはずなのに。


鬱陶しいと思うこともあるくらい私に甘えてきた2人の息子も、中学生になる頃から、私と距離を置くようになった。思春期、反抗期の男子特有の女親に対する態度なのだと、頭では理解していても、やっぱり寂しかった。


そんな家庭にいたたまれなくなり、結婚以来続けていた専業主婦を辞め、近くのスーパーに働きに出たのは、次男の高校入学で、子育てが取り敢えず一段落したタイミングだった。


右も左もわからずに始めた仕事だったが、要領が分かって来ると、どんどん面白くなって行き、入社して3年。気が付いたら先輩達を差し置いて、所属売場のパート
リーダーに任命されていた。


仕事は大変だけど、でも楽しくて仕方ないくらい充実していた時期に、店長として私の前に現れたのが、内藤健介(ないとうけんすけ)だった。


私より5歳上の内藤は豪放磊落を絵に描いたような性格で、仕事は率先垂範。たちまち私達部下の心を掴んで行った。


私は内藤に褒められることを喜びとし、それを励みに仕事に取り組み、内藤もまたそんな私を優秀な部下と認めてくれたようだった。


そんなある日、休日だった私は、買い物をしにショッピングモールに出掛けた。そして偶然、内藤に出会った。まさに今日と同じように。


そして、私は誘われるままに、内藤とお茶をして、ひとときを過ごした。それが過ちの始まりだった。
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