25年目のI love you~やっぱり一緒に・・・②~
それをきっかけに、私達は休日に会うようになった。バツイチ独身の男と、昼間自由な時間のある女の茶話会は、いつしか「デート」と呼ぶしかない時間に変わって行き、その関係が「男と女」に変わってしまうのに、正直、さしたる時間は掛からなかった。


それでも最初のうちは後悔も罪悪感もあった。しかし、そんな私に何の関心も示さない夫。パートの妻が自分より遅く帰って来ても


「大変だな。」


の一言。夫への失望が、私を内藤にどんどん溺れさせて行った。


ちょうどその頃、離婚したばかりの友人から


「愛なんて幻想、そんな物に拠って成り立ってる結婚なんて砂上の楼閣。」
「関心も興味も失った相手と結婚してるってだけで、一緒に居るなんて、バカバカしいじゃない。」


とけしかけられた私は、夫に離婚を突きつけることを決心して帰宅した。内藤と結ばれてから3ヶ月が過ぎようとしていた。


だけど、そんな私を待っていたのは、予想もしなかった夫からの言葉だった。


「結婚してくれてありがとう。」
「愛してるのに、感謝してるのに、ちゃんと伝えてなくてゴメン。」
エトセトラ、エトセトラ・・・。


なぜ夫が急に、あのタイミングで、あんなことを言ってくれたのか、今もって不明。


だけど、その真摯な態度と言葉は、私の目を覚まさせ、再び私のハートを燃え上がらすには充分過ぎた。私は夢中で夫の胸に飛び込んだ、まさに大逆転ホームランだった。
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