守る理由。
蒼司「…次からはこうでない方法で来るか。」

『他に方法があるなら最初からそれにしませんか。』

蒼司「平気かと思ってな。」

『いくら平気でもあんな底なしに落ちて行くなんて誰でも無理でしょうし残念ながら僕は何より高い所がダメです、そして次に絶叫系が本気で無理です勘弁してください。』

蒼司「今度からは違う方法にする…だから落ち着け。」



何故この人は他の方法があるというのにこの方法を選んだのか。

そう思いながら少しだけ顔を上げ、彼を見る。



…何か笑い堪えてるんですけど何だこいつまさかわざとか。



憎しみを込めて彼を見ると、とうとう我慢出来なくなったのかくっくっと喉を鳴らしながら笑い始めた。

ここまで本気で締めたいと思ったのはいつぶりだろう。

かなりの殺意を覚えたんだがこの人を脳天からかち割っても良いだろうか。



蒼司「もし駄目ならば良い反応をくれると思ったが…まさか当たるとはな。」

『わざとなんですね??』

蒼司「ふっ…すまないな。」

『あなた僕の反応楽しんじゃってます??』

蒼司「ああ。」

『隠さないのかよ。』



隠さず人の反応を楽しむこの人は性格が悪めな気がする。

もしかしたら鬼か悪魔なのかもしれないな、と思いながら彼を見つめ、軽く横っ腹に一突き入れる。

少しばかり“うっ”と唸ったが、すぐに僕の方を見てはまた笑い始めた。



何がおかしいんだこの野郎。



僕はこの人とは仲良くなれない気がする。



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