エリート俺様同期の甘すぎる暴き方~オレ、欲しいものは絶対手に入れる主義だから~
恋はおろか、男性と深く関わることすら避けてきた日菜子に、そんな甘い話など未だかつて無かった。
数日前に自分がの気持ちに気づき本人さえ戸惑っているような状況なのだ。コイバナを楽しむまでにはもう少し時間がかかる。
「斉藤さん、ちょっと落ち着こうか」
花の暴走をどう止めればいいのかと、頭をなやませているとすっと誰かが立った。
「ここいいかな?」
日菜子にではなく、花に尋ねたのは拓海だ。
「ええ、どうぞ」
少し戸惑った様子だったけれど、花は承諾をすると日菜子の様子を窺っている。これまで拓海と日菜子が食堂で一緒に食事などしたことないのだから、不思議に思われても仕方ない。
「松風、今朝頼んだ件だけど、ちょっと急いでもらえるか?」
「あ、うん。ほぼできあがってるから大丈夫だけど」
「そうか、助かった。ありがと」
席に着くなり仕事の話を始めた拓海を見て、その話のためにここに座ったのだと花も日菜子も理解した。そもそも空き席が少ないのだから、知った顔の近くに座るというのも納得できる。
結局花を交え、仕事の話を織り交ぜつつ三人で食事をすすめていると「松風さん」と名前を呼ばれた。
(今日はなんだか、おちついて食事ができないな)
心の中でため息をつきつつ、返事をしてふりかえる。そこには西野が立っていた。
「西野さん、お疲れ様です」
一瞬席を探しているのかと思ったが、彼は手に何も持っていない。
「もしかして、今朝の仕事不備がありましたか?」
西野がわざわざ自分に話しかける理由がそれしか思い当たらず、嫌な予感に緊張する。
「いや、仕事はいつもどおり完璧だったよ。ありがとう」
にっこりとほほ笑む西野の顔を見てほっとする。しかしならばなぜ、わざわざ日菜子に声をかけたのだろうか。
疑問が顔に出ていたのか、西野がクスッと笑った。
「ごめんね、急に話かけて。でも、ほら今朝話しが途中だったから」