エリート俺様同期の甘すぎる暴き方~オレ、欲しいものは絶対手に入れる主義だから~
「俺はそういうのやってもらおうと思わないタイプ。どっちかというと世話焼きたいほうだから、だまって受け入れて」

「うん。ありがとう。じゃあお願いするね」

(そういうものなのかな?)

 拓海は宣言どおりあれこれと日菜子の世話を焼いた。

 焼き加減のよい肉を、日菜子の皿に乗せる。タレが少なくなれば新しい皿に注ぎ渡してくれ、飲み物もベストなタイミングで尋ねてくれる。

 自分にこれができるどうかとなると無理に違いない。

「南沢くんって、本当によく気がつくね?」

 感心した日菜子が思わずそう尋ねると、拓海は首をひねる。

「そうか? 別に普通だろ」

「そんなことない。どうやったら、そんなに気が使えるようになるの?」

 すごい人間スキルだと思い、何かコツがあるのかと尋ねた。

「別に難しいことなんか何もない。それに世の中の人物全員にこう手厚いわけじゃないから」

 綺麗な手つきで網に肉を並べ終わると、日菜子を見つめた。

「いつもお前のことを気に掛けているから、できるんだと思う」

「ふーん、そうなんだ……って」

 ナムルに伸ばしかけていた箸が止まる。

(それって……ずっとわたしを気にしてるってこと?)

 ゆっくりと拓海に視線を向けると、向こうはテーブルに肘をついて日菜子をまっすぐ見ていた。

 視線がからみ、体温が上がった気がした。

「なに赤くなってるんだよ?」

 拓海は意地悪い顔でにやっと笑った。

「あ、赤くなってない! なってないから」

 図星を言われてあわててビールを飲む。それを見て拓海はケラケラと笑う。

「ごまかしても無駄だぞ。言っただろ、お前のことずっと見てるって」

(もう、これ以上はやめて)

 恥ずかしくて、顔から発火してしまいそうだ。

「ははは、ほら。食え」

 それから日菜子は、まるで餌付けされるヒナのように拓海に甲斐甲斐しく世話をうけながら、楽しい時間を過ごした。
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