エリート俺様同期の甘すぎる暴き方~オレ、欲しいものは絶対手に入れる主義だから~
デザートのゆずシャーベットを食べるころ、日菜子はものすごく緊張していた。そろそろ本題に入らなければ、ただの同期との食事で終わってしまう。
ここ数日、悩みに悩んでいたことをこれ以上持ち越したくないというのもある。
「あのね。南沢くん」
「んー、どうした?」
彼の皿のシャーベットはもうすでに半分なくなっていた。大きな口でほおばりながら、日菜子の話を聞く。
「あの日、どうして食堂であんなこと……言ったの?」
拓海はちゃんと日菜子の意図を理解したらしい。
「あんなことって、俺とお前がつき合ってるって言ったこと?」
「うん。あんなこと言う理由がわからなくて」
秘密を握られてすぐならば、ただの嫌がらせだと思っただろう。けれど今目の前にいる彼が日菜子に嫌な思いをさせるとは、到底思えなかった。
「みんなの前で言わなきゃ意味がないだろ。言い寄ってくる面倒なやつに見せつけるためだ」
それを聞いた日菜子の動きが止まる。正確には動けなくなってしまった。
(それって、南沢くんが面倒な誘いを断るために、わたしを利用したってこと?)
思ってもみなかった答えに、日菜子は大きなショックを受けた。自分が信頼してきた彼に裏切られた気持ちで、指先が震える。
(帰らなきゃ……)
無言でゆっくりと立ち上がった日菜子を見て、拓海も異変に気がついた。
「松風? どうしたんだ急に」
慌てた拓海が声をかけたが、日菜子はすでに障子をあけ靴を履いていた。
「ごめん。帰る」
「え? おい。待てって」
背後から呼び止められる声がしたが、もちろん止まらない。むしろ早足で出口から飛び出した。
勝手に出てきてしまって申し訳ない気持ちもある。会計も全部丸なげで出てきた。
けれどあの場にあと一秒でもとどまっていたら、きっと泣きだしてしまっていたに違いない。