あやかし神社へようお参りです。②
『痛いの痛いの飛んでいけ』はとても鮮明に覚えている。三門さんが、祝詞を読むときの歌うような優しく伸びやかな声でそう唱えた瞬間、怪我したところがぱあっと光って傷が瞬く間にふさがったのだ。
これも言霊の力のひとつだよ、と言った時の三門さんの顔までも覚えている。悪戯っぽく笑った顔だった。
「麻ちゃんが心の底から『あっちへいけ!』って思って言ったら、意外と効くかもしれないね」
はは、と笑った三門さんに、直ぐにからかわれているのだと気が付いた。
「か、からかってますよねっ」
「そんなことないよ、麻ちゃんならきっとできるって」
もう、と頬を膨らます。気が付けば強張っていた肩の緊張が解けて、胸が少し軽くなっていた。
「うたちゃんのこと、頼むね」
三門さんが真剣な顔になった。私も思わず背筋が伸びる。
私にはできることは限られているけれど、それで詩子を助けられるならもちろん何でもしてあげたい。その気持ちは紛れもなく本当だった。
「わかりました」
「ありがとう、頼もしいよ」