しあわせ食堂の異世界ご飯4
「上手に切れてるね。問題ないから、どんどん残りも切っちゃおうか」
「はい!」
 アリアに褒められたリズはとっても嬉しそうで、花のように可愛らしく微笑む。そのまま残りの玉ねぎを手にとって、同じように切り始めた。

 そんなふたりの様子を微笑ましく見ていたのは、ストロガノフの仕込みをしているカミルだ。
 あとはもう煮込むだけでいいので、リズの野菜が切り終わったらカレー作りに取りかかる予定になっている。
「リズは本当に熱心だなぁ。料理の基礎だってすぐに覚えるし、さすが子供は吸収力がはんぱないな」
「それなら、カミルだってそうだよ? 包丁捌きなんてあっという間に上達して、私びっくりしちゃったんだから」
 私からしたらふたりともすごいのだと、アリアは言う。
「でも、アリアに比べたらまだまだだろ」
「えー……どうかなぁ」
 カミルの問いかけに、アリアはくすりと笑うだけだ。
(私は人生二回分も料理をしているからね……)
 軽く計算しても、カミルの倍は生きている。
 料理人として修行をした期間は決して長くはないのだけれど、自信を持って料理と寄り添ってきたということは言える。
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