しあわせ食堂の異世界ご飯4
「あ~これ本当に美味いな! 俺の中で、アリアの料理ナンバーワンかもしれないぞ!」
 もちろん今まで食べた料理もどれも美味しいけれど、これはカミルの中で格別だったのだ。
「そんなに気に入ってくれたの? 嬉しいなぁ」
「だってめちゃ美味い! なあ、これメニューに加えないか? 麺を茹でるのと炒めるのを同じコンロでするのはちょっと大変かもしれないけど……」
 カミルがいつになく、アリアに熱のこもった視線を向ける。すぐにメニューに採用したいくらいに、気に入ってくれたようだ。
 けれどメニューにできるかといえば、簡単にイエスということはできない。
 材料は市場で手に入るものなので、さして苦労はしない。
 問題なのは、トマトケチャップと麺だろう。この手間を考えると、今のしあわせ食堂でお手頃の値段設定にするのは難しいかもしれない。
「作り方自体はいいんだけど、ちょっと手間がかかるんだよね。主にトマトを潰したりとか……エマさんと相談して、メニューにできるかあとで検討してみよう。もちろん、前向きな方向で」
「ああ、今はそれで十分だ」
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