しあわせ食堂の異世界ご飯4
 できることがあるなら、自分もしっかり覚えて作れるようになるとカミルが胸を張って宣言する。すごく頼もしい。
「うん、カミルに期待してるね」
 アリアが笑顔で頷くと、リズが「わたしも頑張ります」と手を上げた。見るとナポリタンは完食されていて、大変お気に召していただいたことがわかる。
 そんなリズを見て、アリアはくすりと笑う。
「リズちゃん、口元がオレンジになってる」
「ふぇ?」
 アリアはポケットからハンカチを取り出して、ソースのついてしまったリズの口元を拭う。
「ん、これで大丈夫。綺麗になったよ」
「わたしったら……ありがとうございます、アリアお姉さま」
 リズは恥ずかしそうにして、「油断ならない食べ物ですね!」と空になったお皿を睨むように見ている。
「みんなに気に入ってもらえてよかった」
 子供たちのために作ったナポリタンだったけれど、やっぱりサラリーマン……大人の男性にも人気のメニューのようだ。
「これがしあわせ食堂のメニューに加わるなら、私も嬉しいわ」
「ええ。ナタリーも気に入っているし、とっても助かるわね」
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