しあわせ食堂の異世界ご飯4
 それもあって、こうして庶民のふりをして街で暮らしているのだ。

 今回のことを知らなかったとはいえ、学校ができることには賛成だ。なので、アリアは嬉しそうにお知らせを見る。
 そんなアリアの横で、カミルは感心するように、シャルルは少し眉を下げていた。
「学園なんて、俺たちみたいな庶民が行くような場所じゃないと思ってたけどな」
「私は体を動かしてる方が楽ですけど、やっぱり勉強も大事ですよね……」
「俺もシャルルに同意だな……。なんかこう、机に向かってじっとしてるのは性に合わないっていうか……。もちろん、大切だってことはわかってるんだけどな」
 とは言っているけれど、カミルは将来的に食堂の後を継ぐことになるので、勉強をしなければいけないとも思っている。
 そして少し遠い目をして、一言。
「どうせなら、俺が子供のころに学園ができてたらよかったのになぁ」
「確かに……子供のときの方が、物覚えもよさそうですよね」
 子供のときに学んでいれば、今更勉強のことで悩むこともなかったのに……と言うふたり。その様子を見て、どっちもどっちではとアリアは苦笑する。

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