しあわせ食堂の異世界ご飯5
 しかし残念ながら、試しで焼いた一枚のみ。グレーテがもらったのも、一枚を五当分したうちのひとつ、ほんのふた口分だけだ。
「……はぁ」
 お好み焼きのなくなってしまったお皿を見て、グレーテはため息をつく。できることならば、満腹になるまで食べたかった。
「すごい料理だね。これが学園で出される昼食だなんて、贅沢というものだよ」
 たったあれだけの材料と準備で、こんなにも満足感を得ることができるなんて。グレーテはアリアを見て、賞賛の言葉を贈る。
「っと、ゆっくりしてる暇はないね。なんせ子供たちの人数分、これを焼かないといけないんだから」
 子供たちにも、早く自分と同じ感動を味あわせてあげよう。グレーテはそう思いながら、作業に取りかかった。

 ***

 ジェーロ帝国学園は、平民の子供たちが通う場所だが、貴族からの注目度も高い。
 それは自分たちの子供を入学させたいからではなく、皇帝陛下自らが設立した学園だからだ。
 事前に申請を行うと、誰でも学園内を見学することができるようになっている。
 皇帝であるリベルトから皇帝の座を奪おうと考えているロスタン公爵も、学園を視察に来たうちのひとりだ。
< 84 / 181 >

この作品をシェア

pagetop