執着求愛~一途な御曹司の滴る独占欲~


「瀧内部長。朝からこっちに顔を出すなんて、なにか用事ですか?」

 場をとりもつようにたずねると、雅文は「ああ」とうなずいた。

「田端の処分が決まったから、知らせておこうと思って。彼は解雇になったよ。専務も今回のことで腹に据えかねて、しばらく田端を東京から離れさせて実家のある田舎で一から出直させるって言っていた」
「そうですか……」

 そんなやりとりを見ていた大山さんが「あれ。広瀬さん風邪気味ですか?」とたずねてきた。

「少し声がかれてますよ」

 そう指摘され跳び上がる。
 土曜の朝はガラガラだった声はなんとか普通にしゃべられるまでに快復したけれど、それでもまだ少しかすれ気味だった。

「あ、あの、手伝いに入っていた店舗が、空調が強くて少し空気が乾燥していて」

 目の前の部長様にさんざん抱きつぶされたおかげで声が枯れましたとは言えず、作り笑いを浮かべながら言い訳をする。
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