執着求愛~一途な御曹司の滴る独占欲~
 

 昨夜、日本にいたときによく通っていたバーに顔を出すと、偶然まどかの姿を見つけた。
 記憶の中よりも大人びた横顔に少し戸惑いながら近づくと、彼女はカウンターに座り酒を飲みながら顔見知りの店員になにかを話していた。

 それが、恋人の愚痴だとわかったとき、カッと体が熱くなった。

 まどかが俺じゃない違う男と付き合っていることにショックをうける。
 そして、彼女の変化がその恋人の影響なのかと思うと、身を焦がすほどの嫉妬が込み上げてきた。


『瞬くんがまた浮気をしたの。これで何回目だと思う?』

 まどかは俺に気付かずに、店員にそう文句をいいながらグイっとお酒を煽る。背中までのびた綺麗な髪が、華奢な肩の上でさらりと揺れた。

『泣いたって怒ったって、全然反省しないんだよ。どうせ土下座して謝れば許してもらえると思ってるんだから、本当に腹が立つ』


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