執着求愛~一途な御曹司の滴る独占欲~
 

 昨夜は会社の近くの馴染みのバーにひとりで行き、カウンターに座っていた。ちょっと納得のできないことがあって、顔見知りの店員さんに愚痴りながらやけ酒を飲んでいたんだっけ。

 そうしたら偶然元カレの雅文に再会して、驚いて取り乱す私をなぜか彼は強引にホテルに連れ込んで……。

 あぁ、このあたりからアルコールのせいか、記憶が曖昧だ。

 この状況はもしかして、三年前に私を捨てた元カレと酔った勢いで一夜をともにしてしまった……?

 いや、ただホテルに泊まっただけでなにごともなかった可能性もある。

 そんな一縷の望みをかけて恐る恐るベッドの脇にあるゴミ箱をのぞいた私は、そこに捨てられていた開封済みのパッケージに頭を抱える。

 シンプルなデザインのそれは、明らかに間違いを犯した証拠だ。しかも開封済みのごみはひとつじゃない。

 ベッドの上でひとりがっくりとうなだれると、おぼろげだった記憶がよみがえってくる。

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