執着求愛~一途な御曹司の滴る独占欲~

「まどかに恋人がいるのは知っているけど、それでも諦められない。バーで愚痴ってたみたいに浮気をしてまどかを泣かすような男なら、俺が本気で奪ってもいい?」

 男の色気と独占欲全開の声色でそうささやかれ、体の内側が甘く震えた。

 勘違いしちゃだめ。
 雅文はただ過去の女に恋人がいることがおもしろくないだけなんだから。
 揺らぎそうになる自分に必死にそう言い聞かせる。

 もう傷つきたくないのに、どうして雅文に求められるのがこんなに嬉しく感じてしまうんだろう。
 どうしていいのか分からなくて、瞳がうるんでいく。


 そのとき靴音が聞こえた。はっとして顔を上げると遠くの廊下をほかの課の女性社員が歩いているのが見えた。

雅文とふたりでいるところを誰かに見られたら大変だと我にかえる。

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