5時からはじまる甘い罠。
そういえば、連れていってくれるお店は、いつもわたしの好物ばかりな気がする。
一度自然な流れで、食べ物の好き嫌いの話もした…かもしれない。
今日だって、さっき思いついたように言ってたけど、もしかしてはじめから、ここに連れてきてくれるつもりで誘ったんだろうか。
わたしはこっそりと廉くんを見る。
すると、すぐに気づかれて、ん?と微笑まれる。
あわてて視線を逸らした。
わたしにまで、そんな心遣いができるとは。
……廉くんはやっぱり、色々とすごいひとだ。
なんだか気はずかしくて、話を変えたかった。
「前ここにきたときは、お友達と?」
軽い質問のつもりでで尋ねる。
「……あー」
なぜか廉くんは珍しく歯切れが悪い。
「……?」
首をかしげると、昔、知り合いと、ちょっと、と言った。