5時からはじまる甘い罠。



そういえば、連れていってくれるお店は、いつもわたしの好物ばかりな気がする。


一度自然な流れで、食べ物の好き嫌いの話もした…かもしれない。


今日だって、さっき思いついたように言ってたけど、もしかしてはじめから、ここに連れてきてくれるつもりで誘ったんだろうか。


わたしはこっそりと廉くんを見る。


すると、すぐに気づかれて、ん?と微笑まれる。


あわてて視線を逸らした。


わたしにまで、そんな心遣いができるとは。


……廉くんはやっぱり、色々とすごいひとだ。




なんだか気はずかしくて、話を変えたかった。



「前ここにきたときは、お友達と?」



軽い質問のつもりでで尋ねる。



「……あー」



なぜか廉くんは珍しく歯切れが悪い。



「……?」



首をかしげると、昔、知り合いと、ちょっと、と言った。
< 67 / 171 >

この作品をシェア

pagetop