妖狐の瞳に恋をした
不思議な夢を見ていた。

幼い頃に事故で亡くなったはずの両親と綺麗な花畑の中にいた

「瑠璃、大きくなったわね。大人になった瑠璃と会えるなんて

 こんな嬉しい事はないわ」

「ママ・・・」

「瑠璃がこんなに素敵な女の子になってパパは嬉しいよ」

「パパ・・・」

「もっとゆっくり一緒にいたいが、そうもいかないようだ。

 パパとママは瑠璃の側にいてやれないが、どうやら瑠璃を

 任せられる人が表れてくれたみたいだ。

 瑠璃、これから何があろうとも自分の心に素直に生きなさい。

 そして、心にいる人を信じなさい。

 幸せになるんだよ・・・」

 「エッ、どういうこと・・・」

「瑠璃、私達とはここでお別れなの。

 瑠璃には聞こえるかしら、あなたの名前を呼ぶ声が・・・。」

そう言われ耳をすますと、確かに私の名前を呼ぶ声が聞こえてくる

その声は、悲しそうで私の胸をギュッとさせた

初めて聞く声のはずなのに、何故か懐かしく感じる

「瑠璃、あの光の中に向かっていきなさい。

 私達はいつも瑠璃を見ているから、また、いつか会いましょう。

 元気でね。愛してるわ、瑠璃・・・」

「パパ、ママ、私も愛してる。またいつか会おうね・・・」

私は両親と離れたくないと思いながらも名前を呼ぶ声に導かれるように

光の中に進んでいった。
< 39 / 144 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop