real feel

My fiance  ※佐伯翔真視点

まひろのやつ、やりやがったな。

今、壇上では新郎新婦が会場の列席者に見守られながらキスの真っ最中。
イチにぃも煽られたからとはいえ、よくやるよな。
有田さんも意外と堂々としてるし。

あーあ知らねえぞ。
イチにぃのことだ、やられっぱなしでいられる訳がない。
俺もとばっちり受けるに決まってる。

それにしても、新に"激カワメイクで"と指示したのは俺だけど。
こういう華やかな場所のせいなのか、まひろが眩しくて仕方ない。

「あれ、蘭さんだよな?マジかよ、すっげー可愛すぎるんだけど!!」

「今まで隠してたのか!こりゃみんな色めき立つよな」

ふざけんなよ、お前ら。
まひろは俺の婚約者だぞ。
誰にも手出させるかってんだ。

ま、そんなことはまだ今の時点では言えるわけないけど。
やっとアイツの本質に気づいたか。
俺が惚れた女なんだからな、いい女に決まってんだろ。

キスの後の興奮冷めやらぬ中、司会者がイチにぃと有田さんにマイクを向けている。
そのマイクを奪い取るようにして、イチにぃがインタビューに応えるようだ。

「皆様にいまご確認いただいた通り、私たち2人は愛に溢れておりますので。どうかご安心ください……っていうか、まひろ!よくもやってくれたな!?俺がやられっぱなしだと思ったら痛い目に遭うぞ。お前らの時、楽しみにしとけよ!!」

ほら、言わんこっちゃない。
あーあ、先が思いやられる。

「それから、菜津美からお前に渡すものがあるから。その場を動かずに待っててくれ」

そう言えばまひろは席に戻っていなかった。
早速仕返しされるんじゃないだろうな……。

有田さんがまひろに近付いて、手に持っているブーケを差し出した。

「新婦、菜津美様より蘭まひろ様へ。ブーケのプレゼントです!!」

司会者が段取り良く進めているあたり、最初からサプライズとして予定されていたんだろう。

< 122 / 221 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop