real feel
……え?
デジャヴかと思った。
だってその台詞って『あの時』と同じだよね。

「会社では上司と部下。部署は違うけどそうだよね。それ以外では……」

改めて言葉にするのって恥ずかしい。
困って翔真をチラ見すると、思いの外真剣な眼差しで私を見ている。
どうしても言わせたいんだ……。

「翔真と私は……彼氏と彼女。恋人同士」

きっと顔が赤くなっているはず。

「……惜しいな。もう一声」

「えっそれじゃあ……。こっ、婚約者!そうよ私は翔真のフィアンセだもんねっ?そうよね!」

恥ずかしいの通り越して、テンションがおかしくなった。
わざとチャラけてみたけど不自然極まりない。


ちょっと翔真。
黙ってないでなんとか言ってよ。
なんだか変な空気で気まずい。
そんな確認なんかして、何がしたいの?

「自覚はあるみたいだな、良かった。……まひろ、ちょっと目を閉じて」

えっまっまさか。
そんな唐突に来るなんて!!
普通は雰囲気とかその場の流れなんかを肌で感じるものなんだけど。

はっ!!
さっきお好み焼き食べたけど、青のりとか大丈夫?
いやいやいやちゃんと鏡見てチェックしたじゃない!
いつでも受け入れられるように……って!!

やだなんでいつも以上にドキドキしてるの。
急にこられるとこうなっちゃうの?
鏡チェックも大事だけども、心の準備も万端にしとかないとね……。

なんてことを考えてるなんて悟られないように、勿体ぶりながらゆっくりと目を閉じた。

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