real feel
主任のことだから、今までの彼女にだってきちんと誠実な付き合い方をしてきたはず。
相手のことを気遣って。
するべきことには抜かりなかったはず……でしょ?

「だから、今日は……その……。主任はいつもはちゃんとしてくれてますけど。今日は、つけずにしませんか?」

…………言ってしまった!!
どうしよう、言っちゃったよ……。
恐る恐る主任を見上げると、主任は私を見下ろしたまま目を見開いて硬直していた。
お互い黙ったままで瞬きを繰り返す。

「しゅ、主任……?」

私の問いかけにハッとしたように我に返ると、ブンブンブンブンと首を激しく振ってから、また私を見下ろしてきた。

「…………却下」

聞き取れないくらいに小さな声で囁いた主任。

「悪いけど、それは出来ない相談だ。俺のこれから先を見据えた上での未来計画を破綻させる怖れがある。俺は自らの手で幸せを握りつぶすような真似はできない……。解ってくれ、まひろ」

え、それって、どういう意味?
私との行為が主任の未来を壊すかも知れないって、言いたいの?
私が邪魔だって……。
やっぱり私は"幸せの略奪者"なの?

「おい、まひろ?泣くなよ……」

気が付かないうちに、涙が頬を伝って流れていた。
主任が困ったように指で涙を拭ってくれるけど、後から後から溢れてくるから指では追いつかない。

指は諦めてティッシュで拭いて、そのあとで瞼にキスを優しく落としてくれた。

「で、まひろの希望は却下したわけだけど。どうする?続けるか、それとも今日はもうやめるか」

え……やめるっていう選択肢があるの?
希望を却下されたとしても、未来の邪魔だって言われても、幸せの略奪者だとしても、私は……。

「主任は……平気なんですか」

私をこんな姿にしておいて。
下着着ているから大事な部分は隠れてるけど、肌を露わにしてベッドに横たわっているというのに。

「バカ野郎……。平気な訳ないだろ?俺が今どんだけ理性を総動員させてると思ってるんだ」

すっごく低い声で唸るように呟く主任。

「はやくその邪魔な下着を剥ぎ取って、まひろを裸にしたいって思ってる」

あ、主任の本音スイッチ……入れちゃったかも。
"剥ぎ取る"なんて。

「あの、優しくお願いします……主任」


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