real feel

エマージェンシー・コール

──4月3日。

今日から新年度がスタート。
1年前の今頃は、宮本課長と佐伯主任が教事1課に異動してきたよね。
そして、なんとなく覚悟はしていた人事異動。
今度は私が………。

"新・シャイニングセクション 広報部 販売促進課 『(あららぎ)まひろ』旧・ラーニングセクション 教育事業1課"

広報の販促課へ異動することになった。

約1ヶ月の引き継ぎも終わり、今日から正式に販促課に着任。
新しい仕事に早く慣れないといけないけど、気になってしまうのは佐伯主任のこと。
毎日一緒だったのに……。
引き継ぎを経た今でもまだ気持ちを切り替えられずにいる。

『たとえ部署が離れても、俺のパートナーはお前しかいないと思っているから』

その言葉を胸に刻み込んで、私ももっとスキルアップできるように頑張らないと。
佐伯主任をがっかりさせないように。
彼に今まで以上に必要としてもらえるように……。

「ねぇ蘭さん、今日さ一緒にシャ食でランチしようよ。せっかく同じ部署になったんだし。親交を深める意味で」

「迫田さん、せっかくのお誘いですがお断りさせて頂きます」

この人とは仕事以外では関わりたくない。
だって、意外と嫉妬深いんだもの……私の彼氏。

~~♪

あ、主任からメールが来た。
『今からそっちに行く』だって。

「何々、もしかして、彼氏からメール?」

「そうですけど……」

今からって、もう12:00だから休憩時間だけど。
そう言ってるうちに、佐伯主任が本当に現れた。

「あれ、センパーイ!どうしたんですか。まさか蘭さんのことが心配で様子見に来たとか?過保護だなぁ」

「うるさい迫田。課長から迫田に届けてくれって頼まれたんだよ!ほら」

中身は分からないけど、紙袋を迫田さんに渡してから、やっと私に向き合った。

「蘭さん、緊急事態だ。一緒にシャ食に行ってくれ」


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