real feel
第6話

打ち上げという名の"同期会"

「あ、蘭さんお帰り。課長ならちょっと出てくるそうだから。で……どうだったの?資料室。今夜ゆっくり聞かせてもらうわよ!」

朝川さん。
なにか誤解してるきっと。
仕事中だし、他の社員もいるこの部屋で話すのはマズイと思ったんだろう。
課長はいないけど、さっさと自分の席に戻ってしまった。
池田さんも真面目に仕事してるし、今夜残業しないでいいように頑張ってるのかも。
だって今夜は飲み会なんだから。
私も今日で営業1課は最後なんだし、心残りのないようにしっかりと勤めよう。

「蘭さん、もし手が空いてたらコピー頼めるかな」

「はい空いてます。……これ、会議用の資料ですか?」

「うん。急遽必要になって急ぎなんだけど」

「任せてください!」

今日で最後だと思うと、機嫌よく雑用でも何でもできるというもの。
広報に戻るのがそんなに嬉しいというわけではないのだけど。
本当は、私は……。

さっき、ここに戻る前に佐伯主任の携帯にもう一度電話してきた。
またお説教かな、なんて覚悟していたけど、出先だからなのか優しかった。

『詳しいことは明日にでも聞かせろよ。直ぐに駆けつけられずごめんな、まひろ』

なんて。
今夜は同期と飲み会だと言ったら、ちょっとだけ機嫌を損ねたみたいだったけど。

『営業1課にいる同期の朝川さんと池田さんが、どうしてもって誘ってくれて』

そう説明したら

『たまには女同士で楽しんでこいよ』

"女同士"っていうのを強調して納得してくれたらしい。

イチにぃにもちゃんとお礼を言わないといけないし。
でも、小久保課長が言ってたことが本当なのかどうか気になる。
私の異動を1年延期させたって。
教事1課から出すのを拒否したって……本当に?

「佐々木さん、コピー終わりました。それから1枚ずつ綴じて人数分の資料準備できてます」

「えっっ!?もう?……早っ!」



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