【完】俺様彼氏は、甘く噛みつく。
「お! 涼元くんが真面目に来るとは予想外だったわぁ!」



英語の女教師の開口一番がそれだったくらい、駆くんはサボり魔みたい。



「先生が今宵のこと入れてくれたからじゃん」



片手で頬杖をつきながら先生に返す駆くん。


「あらあら、若いわねぇ」


っていう先生も十分若いけど……。



そうして授業が始まった。



でも、駆くんって本当に15位取った人なの?って疑いたくなるくらい集中力がないの。




ほらまた。



――つんつん。


あたしの手に駆くんの持つシャーペンの頭が数回当たる。




(……なぁに?)



小さな声で返すと、「手」という言葉が返ってきて。



(て?)と首を傾げたら、駆くんはあたしの左手を机の下で握った。



「……それじゃ駆くん、板書写せないじゃん」



「ほらそこのカップル! 静かにしなさい」



ぴしゃりと怒られてあたしは「ごめんなさい」なんて、こんな悪目立ちしたくなかったのに……。




もう、駆くんの、ばか。


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