【完】俺様彼氏は、甘く噛みつく。

「無理。くっついてたい」


そのまま目を閉じた駆くん。



「もう……」



透明感のある肌が日を浴びて、さらさらとした黒髪が風にゆれる。


静かに閉じられた目元で、長いまつげが際立つ。


本当にきれいな顔立ち……。



膝に乗った彼の髪をそっと撫でると、手の動きに沿って太陽にきらめく艶が移動する。



シャンプーのCM顔負けだよ……駆くん。


柔らかな感触を楽しむように撫でていたら。



「……なんで撫でてんの」



そう突っ込まれて慌てて手を離した。


「ごめん! つい……」


かぁっと頬に血が集まる感覚。



「気持ちいいから、もっとして」



あたしの手を自分の頭に乗せた駆くんは、子供みたい。



「……甘えたさん」



つい零れる笑みと一緒に声に出ちゃった。


「……うるさい」



不本意そうな声が聞こえたけど、すぐに寝息に変わった。


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