【完】俺様彼氏は、甘く噛みつく。
「……え?」


「あ……」


気付けばあたしの手は、おもいきり駆くんを払い避けていた。



キスされないように反対を向ききった首を駆くんの方に向けなおすと、そこには驚いた顔であたしを見ている駆くんがいた。




一瞬見せた傷ついた顔は、すぐに笑った。



「……はは。すげー反射神経」



ぽんっと頭に手のひらが乗って、離れた。




「ごめんなさい……そんなつもりじゃ……」



「じゃあどういうつもりだったんだよ」




駆くんは笑って、ふざけた様子で言っていたけど。



この先、「ばいばい」と手を振るまで、この日は会話がなかった。



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