【完】俺様彼氏は、甘く噛みつく。
……うう、来ない。


もう20分も自分のクラスとの間を行き来してるよ。

駆くんってルーズ……。


ぷくっと頬を膨らませて、もう帰っちゃおうかなって鞄を肩にかける。


廊下に出て駆くんの教室を横切ろうとした時だった。


「今宵」

「きゃあ……っ」


ぎゅうっと後ろから抱き着かれた。


堅い胸板。

微かに甘く漂う香水の匂いに心臓が跳ねあがる。


「……何帰ろうとしてんだよ?」


鼓膜を震わす、低い声。


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