【完】俺様彼氏は、甘く噛みつく。
もうなんでもよくなっちゃいそうになる自分が怖い。

付き合えませんって、はっきり言おうって思うのに、口が開かない。


「彼女になれるの?なれないの?」


そんな優しい声で、訊かないで。


「なれんだろ?」


念を押すような声にあたしは、今日も、「はい」と頷いてしまった。


「やった。今日から正式にこの子、俺の彼女になったから。みんな証人ね?」


へらっと笑う駆くんに、廊下に女子たちの悲鳴が駆け抜けていった。


竜巻のように捲き上がるブーイングに駆くんは簡単に返す。


「みんなこの子に意地悪すんなよ。へんなことしたら俺怒るから」


にこりと笑う駆くんって自分がモテていることを熟知しているみたい。


モテてしかこなかったんだろうな……。


それと、なにより駆くんは。


あたしが、駆くんの誘惑にすぐ流されてしまうことも、きっとわかってる。

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