【完】俺様彼氏は、甘く噛みつく。
「で、そういうのされて、嬉しいと思っちゃった自分がいると」
「そ、そんなにはっきり言わないで……」
両手で顔を覆って、俯く。
恥ずかしいよ……。
「今宵が……あの男嫌いの今宵が、あっという間に惚れちゃうなんて……」
あたしだって、びっくりしてるよ。
でも今ね、信じられないくらい頭の中が、駆くんばっかりなの。
「あと一個気になることもあって。駆くんの友達がね、駆くんと付き合うのはやめとけって、痛い目に合うって……そう言ってて」
「えぇ!?それ早くいいなよ!」
ルイちゃんは眉間に皺を寄せて、しばらく考えこんでいる。
その隣であたしは、おにぎりをほおばる。ちょうど梅干しにたどり着いたとき。