完璧人間サマは私に夢中。

「これで……よし…っと。」


最後の装飾を施して、ふぅっと息を吐く。


校内装飾制作委員の方々が頑張ってくださったおかげで、文化祭らしい華やかな校内にすることができた。



私には作れない凝った装飾を見ながら心の中で感謝する。



色とりどりの装飾。


あちこちに貼られた宣伝ポスター。


制服ではない衣装を着た人達。




明日に迫った文化祭が、既に姿を現し始めている。




「えっと、次はグラウンドの生徒会ブースに行くんだっけ…。」


朝にレオ先パイから指示されたことを思い出しながら靴を履き替えてグラウンドに向かう。



カラフルな屋台用テントを見比べて、生徒会のブースを探す。


そういえば、生徒会は何を販売するんだろう?


慣例で運動部と生徒会が飲食店をすることは知ってるけど、具体的なことは何にも聞いてなかったや。




あ、あのツインテールは…!


「カレンちゃん!」


「あら、トワ。早かったわね。」


くるっと振り返ったカレンちゃん。



「な、何?その服…。」


普通に制服を着ているのかと思ったら、ロリータチックにアレンジされていた。


「何って、これが生徒会の衣装よ?

 もちろんトワのもあるわ。」


「う、うそでしょ!?」


ファンタムグレーのシンプルなセーラー服が…。



本来スカーフをつける位置には、立体的な白リボン。


パニエでも着ているのか、ふんわりとしたスカート。



「ち、ちなみに、何を売るの?」


「トゥンカロンよ。

 トワ、説明聞いてなかったわね。」



「うっ…、ごめんなさい…。

 トゥンカロンとは何ですか…。」


「マカロンの間のクリームを増量したようなものよ。

 リン先パイが提案したから詳しくはそっちに聞いて。」


かわいくアレンジされた制服でマカロンの親戚を売る、と。


なんで誰も止めなかったんだろう…。



男子のが多いんだから、誰か止めてくれてもいいのに。



「ちょっと。

 来たんだったら手伝ってよね。ほら。」


ショックを受けたことなんてお構いなしにカレンちゃんは私を引っ張っていくのだった。




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