完璧人間サマは私に夢中。
留学生の方々が退出し、慌ただしい雰囲気がなくなる。
「ふぃ〜。ちっかれたぁ!」
「凛ちゃんお疲れ様。
折り紙の説明、こっちにまで聞こえてたよ。」
「単語でしか会話してないけどね!
Foldingって100回くらいゆった気がする!」
凛ちゃんは根っからの文系で、英語の成績は5段階評価の5か、5よりの4をいつも取っている。
単語の暗記だけ頑張ってて、文法は全然ダメって言ってたけど。
カレンちゃんも先パイ方も留学生相手でも平然とコミュニケーションしてたし、やっぱり私は生徒会でお荷物だなぁ、と再確認した。
「お疲れ様。
リンは折り紙の撤収、
リヒトはプロジェクターの返却、
ユートはパソコン。
マサとカレンはここの復旧作業。
終わり次第生徒会室集合。」
「はいはーい。」
「作業内容はマサ先パイに聞けばよくて?」
「あぁ。マサ、頼んだ。」
「OK☆
んじゃカレンちゃんこっちねー。」
お見送りに行っていたレオ先パイが帰ってきたと思ったら次々に指示を出した。
「兎羽は書道セット片付けてもらえるかな?」
「わかりました。」
優しい声色の先パイの指示通りに手早く片付けをする。
「兎羽の文字、毛筆でもたまらないね。
兎羽は何をしても俺のツボをつくんだ。」
「別に普通ですよ…?
人より長く書道教室に通っているだけです。」
「ふふっ。兎羽が普通な訳ないよ。
俺の心を動かした唯一の人間なんだから。」
心を動かした唯一の人間…?
恋愛感情を初めて抱かせた人ってことかな?
どこか引っかかる言い方だったけど、レオ先パイなりの愛の表現だと認識した。
「レオ先パイは私のことを過剰評価しすぎです。」
「兎羽は自分のことを過小評価しすぎだと思うけどな。
もっと自信持っていいんだよ?」
「過剰評価してるからそう思うだけです!」
「兎羽は頑固だなぁ。
ま、何してもかわいいからいいか。」
「か、かわ…!?」
「あーあ、固まっちゃった。
兎羽の飼い犬でもいいって言ったけど、
いつまでもレトリバーのままでいるつもりないから。
早く俺のものになってね。」
甘く美しい笑顔を見せたレオ先パイは、私の髪を優しく撫でた後学食から立ち去ったのだった。