【完】STRAY CAT
学校からふたりで歩いて帰ってきて、もうそこにマンションが見えている、というところで。
鞠がおもむろに足を止めて振り返るから、俺も足を止めた。
「……なんか、」
「ん?」
「誰かにつけられてるような気がする」
「は、マジかよ」
見慣れた道。
視線を巡らせてみても、特に不審な人物がいるわけではない。一緒に歩いてたけど、俺は視線も感じなかった。
……気のせい、だといいけど。
もしそうじゃなかったとして、あとで取り返しのつかないことになったりしたら、困るし。何より鞠が不安だろうし。
「……せっかく、同じマンションに住んでんだしさ。
外出る時とか不安だったら、俺のこと頼れよ」
安心させるようにその手を握って、ふたたび歩き出す。
鞠はちょっと困ったような顔をしたけど、「ありがと」って小さく言ったのが聞こえた。
「17時までちょっとだけ時間、あるな。
制服暑いし、着替えたらそっち行くわ」
「……? 来るの?」
「どうせ買い出し行くんだろ?
まじでつけられてたんだったら危ねえし、一緒に蒔のこと迎えに行ってから買い出しな」
どうせ鞠のことだから、ストーカーされてんなら自分より蒔のことを心配する。
蒔のことで頭がいっぱいになって、鞠に何かあったら困る。
いつも登下校は一緒だけど、何かあったら困るからひとりで出かけて欲しくない俺の気持ちに気づいたんだろう。
素直に「わかった」と返事した鞠とマンション内のエレベーターで別れて、一度帰宅した。