【完】STRAY CAT
……護衛って。
でもまあ、みずから種を蒔いたのはわたしなわけで。
「できれば学校周辺はやめてほしいんだけど……」
「……いや、学校周辺の方が危険だろ」
「……なんで?」
「お前昨日、藤咲第二の制服着てたじゃねえか」
思わず、額に手の甲を当てた。
……ほんとだ。この季節だからブレザーは着てないにしろ、わたしたちの制服の胸ポケットには『藤二』の文字が入ってる。
しかもスカートは、スカートに使うにしてはめずらしいパステルカラーの藤色。
「有名進学校の藤崎第二」の生徒は、制服を見ればすぐに特定できる。……最悪だ。
「あいつらも制服を見ただろうしな。
学校近辺で手出しされたら、元も子もない」
「わかった。わかったけど……
誰かが護衛してくれるなら、ひとついい?」
「ああ、なんだ?」
「ごめんなさい。髪色が悪いとかそういうこと言ってるわけじゃなくて。
……でも世間的にまだ髪色への偏見ってあるから。内申点とか、近所での噂に影響したら本当に困るの」
薄くくちびるを噛む。
恭の金髪だってすごく綺麗だけど、暴走族に所属してる人間とわたしが親しいことをマンションの住人に知られたりしたら、過ごしづらくなる。
「わたしはいくらでも悪く言われたっていいけど……
この先蒔が生活しづらい環境を作りたくないの」
だからごめんなさい、と、深く頭を下げれば。
彼はふっと息をついて、「顔上げろ」とわたしにうながした。