【完】STRAY CAT
その話なら、わたしだって知ってる。
花蔵恭は、中学時代から暴走族界隈で喧嘩が強くて有名だったらしい。そしてピンクの髪という、目立つ彼女の存在だって有名だった。
だからわたしは、昨日自分のその話を持ち出した。
でも当時彼はまだ暴走族の中でもただのメンバーのひとりで、幹部ではなくて。
「でも今、恭が幹部だろ。
……お前が自分で花蔵恭の彼女を名乗ったことで、あいつと関係が続いてると思われてる可能性が高い」
「……つまり、わたしが自ら名乗ったことで、
藍華の弱みとして使える存在になった」
「分かってんなら話は早ぇな」
過去に恭から色々教えてもらっていたのが、まさかこんなところで役に立つとは……
いや、全然、まったくもってうれしくないんだけど。
思わず顔を顰めるのは、蒔のことまで危険に晒してしまうかもしれないからだ。
本当に、余計なことなんてするもんじゃないわね。
「現時点でそういう話はまだ上がってねえけど、いずれ上がってくるのは間違いない。
だから、明日あいつらに"今日ファミレスでお前が俺らと一緒にいたのを第三者に見られた可能性が高い"という話をしておく」
「噂の元が昨日じゃなくて今日だったことにするのね」
「そういうことだ。お前、俺と昨日会ったこと恭に知られたくないんだろ。
でも間違いなく噂は上がってくるからな」
はあ、とため息を吐き出す。
ちらりと振り返れば視線の先で蒔が楽しげにはしゃいでいるのが見えた。可愛がってもらっているらしい。
「今日顔を合わせたことにすれば、あいつらは無条件でお前のそばに付けるからな。
……もし万が一、自分の身に何かあったら困るだろ」
「わたしは何があっても困らないけど……
蒔のことは、絶対ひとりにしておけないから」
「……わかった。
噂が色濃くなったら、お前と妹に護衛をつける」