COFFEE & LOVE―秘書課の恋愛事情―
今までの人生、努力で何でも叶えてきた。
入りたい大学も、就職先も全て。

ダサい、ガリ勉だと笑われてもいい。

そんなの大した問題じゃない。


”持てる者”と”持たざる者”
世の中にはこの二種類しかいない。


”持てる者”である幸せに気付かない奴らは哀れだ。
いかにそれが恵まれているのか、知ろうともしない。




僕の生まれはドがつくほどの田舎で、周りには主に畑と山しかないようなところだった。

兄と妹、三人兄妹の真ん中。

父親は小さな工場で働き、母親は隣町に出てパートをしていたが生活は決して楽ではなかった。

流行りのおもちゃやマウンテンバイクは、
僕には縁のないもので洋服や靴等は兄のおさがりをボロボロになるまで着倒していた。

なんせ田舎というのは、狭いコミュニティだ。

同級生や近所のおばさんの噂話や陰口。
僕は”持っていない”側の人間だと自覚するには充分だった。

どこまでも広がるのどかな田園風景に、僕はきっと殺される。
いつかこの町を出ていくんだ、そんなことをずっと考えていた。
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