COFFEE & LOVE―秘書課の恋愛事情―
けれど同時に思い出すのは彼女の辛そうで、寂しそうな顔。
“『忘れられない人がいる』”
俺を真っ直ぐに見つめてそう言った彼女の言葉と、受け止めた身体の軽さ。
あんなに小さな身体が壊れそうな程に彼女が想った人。
それを思う度、胸のあたりがうずうずと疼きだす。
その言葉がこんなにも俺を苦しめるなんて、あの時は思ってもいなかった。
毒のようにじわじわと身体を蝕んで、気付いた時にはもう身体中を侵食していた。
“それでもいい”
あの時咄嗟に出た言葉は嘘じゃない。
けれど考えれば考えるほどに滅入っていく気持ちと、それでも彼女のそばにいたいという気持ちに
挟まれて、どんどん身動きが取れなくなっていく。