彼はネガティブ妄想チェリーボーイ
「それならなおさら部屋に呼べばいいじゃん。」

俺の言葉を聞いてたのか、後ろの席の五反田もひょっこり顔を出して言った。

「好きでもない男の部屋には、絶対女は上がらないと思う。」

五反田の言葉に、黙っていた松崎が「そうだそうだ」と乗る。

松崎は「彼女いない歴=年齢」の、俺と恋愛偏差値同レベル男だ。

だから松崎には説得力はないが、荒木と五反田は中学校から付き合ってる彼女がいるから説得力がある。

「もし部屋に来て何かした時に、『そんなつもりじゃなかった』っていう女はこっちからお断りだ。」

五反田の言葉に、なるほど、と俺と松崎が頷く。

こいつ、初体験中2って言ってたの本当かもしれない。

「部屋に来た時点で、向こうも大体期待してる。」

五反田がすげえ先輩に見える。

今日の相手に三振しかしてないくせに・・・
彼女から貰ったミサンガ年がら年中つけてるくせに・・・

「前山さんを部屋に呼んで試すしかないな。」

後藤が言った。

沙和を、部屋に呼ぶ・・・?

「呼んだら、何すんの・・・?」

つい低レベルな質問をしてしまった。

「何って、イチャイチャすればいいじゃん。」

荒木が言う。

「イ・・・!!」

沙和と、俺が、イチャイチャ!!

頭の中で俺と沙和が戯れる図が再生される。

ああ、イチャイチャしたい!!

でも・・・

「嫌われないかな・・・」

今の俺からは弱音しか出ない。

「だから、そもそも部屋まで来たくせに『そんなつもりじゃなかった』っていう女は、そっちに問題があるんだって。」

五反田が強い口調で言う。

ああ、そんなことを言われても自信がない。

< 26 / 96 >

この作品をシェア

pagetop