彼はネガティブ妄想チェリーボーイ
試合が始まった。

1回から早速3番と4番が打ってきた。
何とか次の5番を抑えて交代。

裏も、1人塁に出たものの0点に抑えられる。

そんな調子で得点が入らないまま5回を迎えた。

2番と4番がヒットを打つ。
抑えろ、次から抑えるんだ。

投げた瞬間に、バントだと気付く。

やめろ!
疲れるわ!

ボールを捕って1塁の先輩に投げる。
少し雑だった。

あっ、やべ・・・

と思った時には、先輩の頭上をボールが抜けてしまっていた。

2アウト満塁。

でも、次のやつは、大丈夫だ。
落ち着け、落ち着け、自分。
押し出すな。
押し出すな。

アウトを取るんだ・・・

しかし、なかなか3個目のストライクがとれない。
3年のキャッチャーから返ってくるボールからイライラしてるのが伝わってくる。

怒んなよ。

粘り強く打ってくる。

くそー
ねちっこいな。

イライラするんじゃない、俺。

だんだん疲れが出てきた。
コントロールが、難しい。

疲れた。
早く家で寝たい。

気持ちを落ち着かせようと思ったのが裏目に出た。
ふと気の緩みが出てしまった。

まさかのボール。

4ボール。
バッターがバットを捨てて塁に出た。

俺は頭真っ白。

そのまま3塁にいた奴がホームに戻ってきた。

嬉しそうにベースを踏む。

ベンチにいた奴らとハイタッチを交わす。

1点取られた。
1-0。

俺は脳がフラフラする中、なんとか次の奴を抑えて、やっとやっと3アウトを取ることができた。

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